
「かんこ鳥は賢にして賤(いや)し寒苦鳥」 蕪村
ヒマーラヤ山(雪山/せっせん)に棲(す)むといわれる想像上の鳥・寒苦鳥(かんくちょう)は、巣を造らないために、夜は厳寒に身を責められて啼(な)き明かすが、やがて夜が明けて暖かい陽ざしを得ると夜の寒苦を忘れて「どうせ明日の知れないこの身、巣など造ってどうする」とまた啼くところから寒苦鳥といわれる。
当月は如月(きさらぎ)ともいって、春隣の月ではあるが、一年で一番寒い月である。今年は節分が3日で4日が立春である。立春と聞くだけで何かしら心の中に春が芽生えて明るい気持ちになるものの、寒の戻りもあってまだまだ寒い日が続き、着ている上にさらに重ね着するところから「着更着(きさらぎ・如月)」というそうである。
淑気(しゅくき)満つこの季節、鼓吹(こすい)の妙心を悟るには願ってもない好季である。寒苦鳥の誡(いまし)めを我が身にあてて懈怠(けだい)を誡めよう。
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ある雑誌に、
「今年こそ今年こそと
こその多い元旦の朝
今年こそ
こそを無くそう
今度こそ」
とあった。人は逆境に苦しむときは、言われなくても真剣に題目を唱えるが、冥加(みょうが=気づかないうちに授かっている仏様の御加護)を得てひとたび順境に転ずるや、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」でついつい惰性に流されて信心も疎(おろそ)かになってしまう。
雪山ならずとも寒苦鳥は繁殖している。
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昔々の話だが、一人の愚か者が三層の立派な他人の家を見て、自分もああいう家を建てたいと大工さんに頼んだ。大工さん、承知して普請(ふしん)に取りかかり、まず地ならしをしたり、土台石を埋め込んだりして、それから材木を組み立て始めた。
愚か者はこれを見て、合点のいかぬ顔をして大工さんに尋ねて言うに、
「あれは何をこしらえているのか。私が建ててくれと頼んだのは一番上の高い家だけで、下の一層二層は必要ない」と。
大工さん答えて、
「それは出来ぬ相談。一重二重と下から組み立てなければ上の三階は造れません」
と言っても愚か者は、どうしても三階だけを造れと言い張って人々に大笑いされた。
信心も日々の行動が大切である。
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『生死一大事血脈抄』に云く、
「臨終只今にあり」(御書515頁)
| 大乗山 持経寺住職 丸岡雄道・著『麻畝の性 巻頭言 第一聚』より(禁無断複製転載) |
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